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- 001: 笑
- ねえ貴方、笑って下さい そうしたら、私も屹度笑えますから
- 002: 一日
- 一日の生を尽くして君を恋う 夜毎の眠り死と呼ぶ君を
- 003: 助
- 今は未だ姿も識らぬ侘助の見(まみ)えぬ彩を君と重ねて
- 004: ひだまり
- 雪に落ち蕾開かぬ花の芽を僕のこころのひだまりに置く
- 005: 調
- 見上げては零す吐息の糸を寄せ弓張る月の調弦の妙
- 006: 水玉
- 浴槽へ落とす嘆きを混ぜ合わせ指で繋げた壁の水玉
- 007: ランチ
- 木漏れ日に愛想も見せぬわたくしの冷たい影と二人のランチ
- 008: 飾
- 言霊の皮も血肉も削ぎ落とし飾らぬ骨の如何に愛しき
- 009: ふわふわ
- 胸の内融けゆく君の声はして一人溺れる ふわふわふ、わ
- 010: 街
- 街路樹の影だけ君の形して、溢れた其の名を殺す 「さよなら」
- 011: 嫉妬
- 凛と立つ君の孤独に嫉妬する 声にならない、恋にもなれない
- 012: 達
- 紅白の色のみ切なに眩しくて未だ我見ぬ達磨の双眸
- 013: カタカナ
- 照れながら「アリガト」何ンて君の声 カタカナ言葉のぎこちなさが好き
- 014: 煮
- 遠離る君へと向かう憎しみは煮ても焼いても食えない絆
- 015: 型
- 誰も皆型に嵌った生き方してさ、分かったような事を言ってさ
- 016:U ターン
- 文字ばかり吐息の如くに紡ぎ生き行き詰まってはUターンの路地
- 017: 解
- ユキノシタ浮かべて凍る蜜蝋の雪解け待たず綴る一筆
- 018: 格差
- 手土産も持たずに巡る古都の旅 格差を騙る隣人も無く
- 019: ノート
- 会いたくて恋をしたくて詩(うた)を書く 十年遅れの青春ノート
- 020: 貧
- 君泣くに冷めて佇む吾が胸の心は貧し空ろの仮面
- 021: くちばし
- 風乞うと反らすくちばし艶(つや)めかし 濡れて地を撲つ白磁の翼
- 022: 職
- 摩天楼凍てる狭間に立ち竦む 如何なる職も空に遠くて
- 023: シャツ
- ちりばめる砕けた硝子 少女の眼 踊る紅シャツに滴る
- 024: 天ぷら
- 積乱の衣ばかりなる天頂に天ぷら油をぶちまけてゆけ
- 025: 氷
- 酔いの果て歪む現に融け切れず薄氷の舟一人たゆたう
- 026: コンビニ
- 夜を侵し彷徨う子らを捕食するコンビニエンスストアの白闇
- 027: 既
- 魂魄の既に無しとは識りつつも温めて動かぬ君の屍
- 028: 透明
- 透明で 嗚呼あまりにも透明で 涙は切なく空貫ける
- 029: くしゃくしゃ
- 青白き煙も骨もくしゃくしゃに抱(いだ)いて気付く 距離無き魂
- 030: 牛
- 光曳く殻の秘を以て懺悔在る 蝸牛のごとく涙乞い乍ら
- 031: てっぺん
- 不如帰待つ人も無く忍音の『てっぺんかけたか』山中に棄て
- 032: 世界
- 微笑みも 澄む眼差しも肩を越す キミが両眸に宿す世界は
- 033: 冠
- 吾が頬を伝いし涙 往く君は知らずに抱け 屍(かばね)の桂冠
- 034: 序
- 別たれるひとときのみにふと過ぎる 『来世で逢おう』絆の序文が
- 035: ロンドン
- 霧の街 ビッグベンにも興向かず 名のみ紙面に泳ぐロンドン
- 036: 意図
- 忘れずに、思い出さずに居てください 君へ捧げたやさしさの意図
- 037: 藤
- 影染めて霊集い来し藤色の哀しみばかり生きて居る
- 038:→
- 君に宛て砂に刻んだメッセージ 恋→愛→君→ 僕の居る場所
- 039: 広
- 夜ほどに安らぐ刹那の広さ無き 机上乱れて荒野にひとり
- 040: すみれ
- 秋の辺にすみれはぐれて狂い咲く 手折り奪おか 惑う高貴を
- 041: 越
- 虹向こう彼方にぞある父の背の 越えてもみたし 越えるも哀し
- 042: クリック
- 愛しさも憎悪も別れも何もかも たった一度のクリックだけで
- 043: 係
- 戦火に玉散り果てて君の在る信頼係数僅かに低し
- 044: わさび
- 君知らぬ涙脆さの言い訳に嫌いなわさび口にしてみる
- 045: 幕
- 連れ添いの暁闇初めて光刺す 君の幕間見てしまいたる
- 046: 常識
- 誰も皆疑うことなき常識の澄ました横面殴りたくなる
- 047: 警
- 傷口を閉じても溢る洪水の警報止まず 『おまえのせいだ』…
- 048: 逢
- 結ばれぬ縁の幾度巡り来る 夜毎逢瀬を重ねても尚
- 049: ソムリエ
- 禁断のソムリエナイフ閃かし吾の封解く 毒も呑み干せ
- 050: 災
- むず痒き災い来たりて胸を刺す 汝が形に居残る残滓
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