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■電脳遊戯調書■

〜過去掲載文 2〜
<1998年9〜1999年8月分>

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1998年12月〜1999年8月分

99/08/29

「お兄ちゃんが・・・私の恋・・・ううん・・・これからも,ずっと・・・お兄ちゃんの妹でいたい」・・・With You〜みつめていたい〜

これはエフアンドシー社(カクテルソフト)<PC版>,NEIC<SS版>から発売されているアドベンチャーゲームです。

 幼稚園の頃からずっと一緒に遊んできた俺と菜織と真奈美・・・6年前,真奈美は両親の転勤で遠くに行ってしまった。そのとき彼女に想いを伝えられず,そして今が過ぎ去ろうとしていたとき,彼女は帰ってきた! 昔の面影を残したまま・・・
 幼なじみの3人・・・いろいろと思い出話をしながら俺は気付く・・・6年前に伝えられなかった想い・・・「初恋」という想いに・・・そして改めて菜織の存在・・・いつもそばにいて支えてくれた彼女にも気付いてしまった・・・
 今までの幼なじみをつなぐ「絆」が今,変わり始めていく・・・そう,それぞれの想いによって・・・

 PC版(18禁)は去年の夏に販売され,そしてSSの最後のヒット作でなるであろう本作(全年齢対象)が,今夏販売されました。
 ゲームシステムはオーソドックスな選択式アドベンチャーを採用しています。今までのギャルゲーであれば,様々なタイプの攻略対象があり,自分のお気に入りを攻略するもよし,多重攻略で多数のエンディングをみるもよしだったのですが,本作は「真奈美」「菜織」「バッドエンド」の3通りしかありません。
 あえて2人のキャラクターに絞り込み,感情移入しやすいよう,それぞれのキャラクターの微妙な心理の変動をプレイヤーに示したシナリオがまた良いんですよね(^^;
 幼なじみの絆が,3人それぞれの想いの交錯により,親友と恋人との狭間を揺れ動く・・・絆を・・・想い出を壊したくない,でも彼(彼女)が好きと言う気持ちに変わりはない・・・恋愛シナリオの王道でもありますが,十分に魅させてくれる作品です。
 あと,このゲームには「菜織」「真奈美」の2人以上に,感情移入できるキャラが・・・乃絵美の存在を忘れてはダメです!(笑)。もし,このキャラがいなければ,ここまで人気は出なかったでしょう。それほど,萌えるキャラです(属性「妹」が付くことは確実ですな(笑))

 SS版に関しては,徳島ではなかなか手に入らないと思います(出回っている絶対数が少ないと思われます)。PC版(18禁)であれば,それなりの所に行けばあるかも(汗)

99/08/01

「私には守るべきものが有る。だから私がオルフィーナになったのね」・・・オルフィーナ

これは角川書店の「ドラゴンコミックス」で刊行されているコミックスです。作者は天王寺きつね。

 西の国グランザと戦っていたファーナ。傷つきながらもなんとかグランザの追っ手から隣国コルデアへと逃げ込んだ・・・傷ついて意識を失っていた彼女は偶然にもコルデア王家に保護される。意識を取り戻したファーナは,コルデア王家息女オルフィーナと対面して驚く・・・彼女たちは瓜二つなのだ。次第に彼女らは本当の姉妹のように交流し,王家ともうちとけていく・・・そんな中,グランザはコルデアへと戦線を拡大・・・王都も急襲され灰燼と化していく。戦禍の混沌の中,息女オルフィーナはグランザに捕縛され,ファーナは脱出に成功する。・・・オルフィーナの処刑当日,ファーナは息女奪還のため単身城下に乗り込んだ。処刑直前,オルフィーナはファーナの姿を見つけ,ファーナにコルデアの未来を託す・・・「愚かなりグランザ!!影を捕らえて国を領ったつもりか・・・・・・そこなお方を誰であると言うか」処刑を取り囲んでいた群衆の中に,もう一人のオルフィーナが毅然として立っていた。場内騒然とする中,脱出に成功するファーナ・・・オルフィーナも混乱に乗じるも志半ばとなる・・・そしてファーナは誓うのであった・・・この国を・・・オルフィーナが守りたかったコルデアを取り戻すために,グランザを倒すために・・・

 「天王寺きつね」といえば,現在TV東京系で放送中の「エデンズボゥイ」をあげる方が多いかもしれませんが,私はあえて「オルフィーナ」を選択してみました。
 もう,典型的中世ヒロイックファンタジーです(というより,この手の話には目がないので(^^;)。角川・富士見が10年前に構成したファンタジー路線で未だに現存している数少ない作品の一つではないでしょうか。シナリオも比較的オーソドックスな組み方をしているので飽きはきません(この手のファンタジーは,シナリオが奇抜すぎると食傷気味になりやすいと思われますが,本作においては奇抜さ(例えば現代兵器を現代兵器らしく描写する等)はかなり控えめではないでしょうか(^^;)。
 また,ライバルとか同志とかの存在ウエイト及びその背景の練り込みの高さが物語を魅させる要因でも有ると思います。あと,この本の隠れた魅力はそのカバーに有るといっても過言ではないでしょう(笑)
 現在6巻まで刊行。

99/02/07

「ヒューマノイドタイフーン・・・平和主義者」・・・TRIGUN

 これは徳間書店の少年キャプテンコミックスで刊行されているコミックスです。作者は内藤泰弘。

 熱砂の惑星・・・宇宙船は我々をこの星に放り出し,奇跡的に独立生産機能を有したまま落ちた船の場所を中心に街が形成された。その大陸で確認された街は7つ,その事件から百余年ほどたったある日,第3都市ジュライが一夜にして消滅した。そして語り継がれるは,瓦礫の山にたたずむ金髪の男「ヴァッシュ ザ スタンピード」が歴史に現れる最初の記録である。
 ヴァッシュ自身,ジュライ壊滅に関わっているようであるが,その過去は不明。また,凄腕のガンマンでありながら平和主義者であり,何かと災厄をもたらすというとんでもない存在。そのため,ヴァッシュ自身には人間災害の指定を受ける事になり,危険回避のため保険屋のメリル,ミリィが24時間でつくことに・・・。その存在自身が厄災なヴァッシュとそれに関わっていく人々の今後はいかに?

 今は休刊となってしまった月刊少年キャプテンに連載されていた作品です。98年度4月期にはTV東京系列でアニメ化されていた作品でもあります。私自身,原作が対ナイブス編に突入するまでは,ハードなガンアクションの中にも人間的な暖かさ・コミカルさがあって”これはなかなかいいのでは”と思っていましたが,キャプテン自身の休刊に伴い,話を一気に最終まで持ってこなければならなかったことには,残念でなりません。もう少し,長期連載でじっくりと話を展開する機会が与えられてればと悔やまれます。

 現在TRIGUNは全3巻で発売中。またTRIGUN マキシマムも発売されています。

98/12/20

特集!!「あの誌面は・・・」 Part 3

 今回は休載中の漫画にスポットを当てます。

 「ヴェルバーサーガ」
 これは富士見書房から富士見ファンタジアコミックスとして2巻まで発刊されているコミックスです。作者は結城信輝。
 たしかこれは,RPGマガジンに連載されていたのではないでしょうか。1991年前後にコミックスが刊行され,以後本誌連載はされていません。作者は「ファイブスターストーリー」,「X(エックス)」等のアニメ映画,TVアニメ「天空のエスカフローネ」のキャラクター原案,「聖剣伝説3」等のゲームのキャラクターデザイン等を手がけている方でもあります。もともと漫画を描くこと自身が生業の方ではなく,各種デザインやパッケージイラストでよく見かける方です。コミックスは2巻までの内容ですと格闘系ファンタジーものといったジャンルになるのでしょうか。良くできていたので,続刊されるものと思っていましたが,作者本業による多忙により,たびたび休載していましたが,いつの間にか完全休載となり,再開されることさえも,うやむやとなっていったと思います。これ,どこかで再連載して欲しいんですが・・・(^^;(私の持っている情報ですので,現在の状況は詳しく分かりません(連載再開しているかどうかも含め)。もし,これに関する情報等ありましたらお教え下さい m(_ _)m)

98/12/06

特集!!「あの誌面は・・・」 Part 2

 前回に引き続き,休載・休刊誌にスポットを当てます。

 「コミックガンマ」
 これは,竹書房がメディアミックス商法に倣えとばかりに,一般人向け漫画誌の増刊別冊として企画されて販売されました。この時期は,角川書店がメディアミックスを成功させて,その他の雑誌社が競って展開をしていた時期でもあります。当初,季刊誌として発刊され「影技」(岡田芽武氏),「ブルーシード」(高田裕三氏)が筆頭として連載されていました。掲載傾向としてはやはりファンタジー系・SF系が多かったように思います。月を追う毎に隔月刊,月刊化となっていきましたが,その資金力不足かメディア展開の失敗かは不明ですが,書店に雑誌が入らなくなる直前の時は全体的にページ数(掲載本数)の減少,有力執筆陣の撤退,無意味的なカラー化傾向が現れ,明らかに「何かあったのか!?」というのような誌面構成をしていたと記憶しています。これに連載されていたもので目を付けていたのは「ソニックウィザード」(作者名は忘れてしまいましたぁ(T T),さよりなぱられる(竹本泉氏)等です。もともと,連載陣は新進気鋭,中堅未満の作家が多く,休刊後他誌へと連載できた方がほとんどいなかったのが,悔やまれます。
 しかし,このガンマって「休刊します」という広告はあったのでしょうか?あまり記憶に残っていないので,ひょっとすると細々とやっているかも。もし,「今も刊行されているよ」というのであれば,当方宛までお知らせ下さい。自分自身あまりこの誌面に関する情報が少ないので(^^;

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1998年11月分

98/11/22

特集!!「あの誌面は・・・」 Part 1

 今回は,惜しまれつつも経営者の力量不足,その他社会情勢で休刊又は休載に追い込まれた作品にスポットを当てます。

 「月刊コミックコンプ」
 これは,角川書店がコンプティーク誌の姉妹的漫画誌として創刊しました。その頃はD&Dによる「ロードス島戦記」などテーブルトークRPGに脚光が浴び,その影響を受け本誌でもファンタジー系,SF系など少しマニアックな内容を取り扱っていたと思います。当時の連載は「サイレントメビウス」(麻宮騎亜氏)を筆頭に「銀河戦国群雄伝ライ」(真鍋譲治氏),「宇宙英雄物語」(伊藤岳彦氏),「エルデガイン−導きの神−」(円英智氏)など,現在も誌面を変えて連載中の作品もあります。しかし,時はバブル崩壊,社長の逮捕劇等いろいろあったようで,やむなく休刊と相成りました。休刊当時は,「エンジェルパラダイム」(衣谷遊氏),「魔狼王烈風伝」(沢田翔氏)などが連載されていました。休刊後は別誌(大半が「月刊電撃コミックガオ」に移籍)で連載されていた方がほとんどですが,広江礼威氏(漢字がうろ覚えです)などの連載作は途中打ち切りとなってしまいました(私はこの人の作品が好きだったのですが(^^;たしか「翡翠境奇たん(「たん」の漢字が何だったのかおぼえていないぃ(T T)」と思うのですが今探しても見つからないんですよね)

98/11/08

「あの懐かしい世界に着いたら私によろしくいっとくれ」・・・神秘の世界エルハザード

 これは制作AIC,製作パイオニアLDCとして発売されているオリジナルビデオアニメです。

 東雲高校の地下で謎の遺跡が発見された。その発見が報道された夜,生徒会長である陣内克彦(高2)の不正疑惑の証言にたつ予定の水原誠(高2)は,その陣内に逆恨みされ校舎内を逃げまどっていた。追いつめられたそのとき,誠以外の時間の流れが止まってしまう。何かを感じ取った誠は遺跡へと向かっていく。そこで見たものは,アラビア風の衣装を纏った自分と同い年ぐらいの衰弱しきった少女であった。「あぁ,逢いたかったよ,誠・・・」誠という存在を一万年も昔から知っていたと彼女は言う。「時間が無い・・・残った力で私はおまえをエルハザードに送り届ける・・・」次の瞬間,混沌と神秘の世界エルハザードの風景が現れた・・・バグロムと呼ばれる虫型侵略者とロシュタリアと呼ばれる国々との諍いの狭間に・・・

 90年代上半期を代表するにふさわしいOVA作品と思っています。当時,オープニングテーマが,アラビア系音楽をオーケストラで壮大な雰囲気をだして演奏していたのがとても印象に残っています。
 OVAというだけあって,その画質は高く,よく描き込まれています。シナリオも,バグロムとの諍いの中で繰り広げられる誠を中心としたラブコメやバグロムのちょっと真抜けた軍略とかも見物です(^^。話もテンポよく,起承転結・喜怒哀楽が明確ですので分かり易く,まず見ていて飽きません。

 今回のこの調書作成においては第一期全7巻を基にしています。現在,他に第二期として4巻,TVシリーズも展開されビデオ化されています。その他にもいろいろとメディア展開がなされているようです。
 私個人としては「イフリータ」役の天野さんの声が好きです(^^;。

98/11/01

「なんじのあるべき姿にもどれ!『クロウカード』!!」・・・カードキャプターさくら

 これは講談社からKCデラックスとして発売されているコミックです。作者はCLAMP。

 主人公さくらは小学四年の女の子。ある時父の書庫で古い本を手にする。本の表紙からぬいぐるみの格好をした,大阪弁をしゃべる封印の獣「ケルベロス」こと「ケロちゃん」が現れた。ケロちゃん曰く「この本には『クロウカード』と呼ばれる魔力を持ったカードが封印されている。それぞれのカードには意志があり,封印から解かれたカードはどんなことをするかわからない。だからワイが護っとんのや」と。しかし,本の中には1枚たりともカードがない!そこでケロちゃん「本を開けれるということは多少なりとも魔法を使う素質がある。」ということで,なんか無理矢理にも,世に散らばっているクロウカード捕獲者として,カードキャプターさくらが誕生したのであった・・・

 現在,講談社「なかよし」で好評連載中,NHKBS2毎週火曜18:00からアニメが放送中の作品です。低学年向け少女漫画なのですが,シナリオ,キャラの造形及び描き込み,表現技法,構成の仕方などうならせるものがあります。ほんとに低学年向けにしておくのがもったいないぐらいです。(ただし,掲載雑誌上シナリオが低学年向けであることは否めませんが・・・)
 また,80年代から存在した一種の「魔法少女もの」という概念を変形させた作品ではないでしょうか。だいたいの場合,マジックアイテムで自分が変身した後(または物質等を変身させた後),物語を終結すべく行動していくというのが王道でしたが,本作の場合マジックアイテムはカードであり,カード毎に役割が分担しています。つまり多数種類のあるアイテムの中で選択して使っていっているのです(王道パターンは一アイテムで全てをこなせるようにしていたのではないでしょうか)。他に,魔法使用の目的も王道パターンである「自己の夢の成立」や「悪からの防衛手段」ではなく,「カードの回収」が目的となります。あと魔法少女もので定番なのがコスチュームですが,本作は原則として物理手段により制作されています(つまり魔法の発動によりコスチュームは替わらない)。王道ものは魔法使用によりコスチュームが替わっていく場合がほとんどです。
 あと,この物語を一言で表現するなら「年齢性別を越えた『好き』という感情」でしょうか・・・。

 現在「クロウカード編」として6巻まで発売中。BS2でも好評放映中です。(そういえば,5月頃BS版に関して少しコメントをしていましたが,文章はここまで書いていませんでした)あともう一つ,某コスチューム店では本作主人公さくらの小学校制服が売り上げ一位だとか・・・。

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1998年10月分

98/10/25

「この”種”を食い殺せだ」・・・寄生獣

 これは講談社からアフタヌーンKCとして発売されているコミックです。作者は岩明均。

 ある夜,地球上に現れた謎の生物は,高校生「泉新一」の右腕に寄生し乗っ取ってしまった。その生物(通称”ミギー”)は新一と共棲することに・・・。他方,多くの謎の生物は人間の脳に寄生し神経を支配して,自由に頭部を変形させながら人間を食料として生きていた。人間と共棲するミギーと新一は,人間を捕食する生物(パラサイト)から異端視され襲われる羽目に・・・。ミギーと新一は互いの生命を守るため,他のパラサイトとの戦いを始めた・・・。

 月刊アフターヌーンで連載されていたバイオレンスホラー(この範疇は私の独断です。もう少し適切なのがあるとは思いますが,すぐに思いつかなかったので(^^;))です。なんの因果か,自分に親しい人がパラサイト被害に遭っていく・・・。その中でパラサイトと闘っていく主人公新一の心には,人間性を保とうとする力とパラサイト的な合理主義(ひいては残虐性)との葛藤までが生まれてしまう。パラサイト襲撃に対する怯え,守りたいものへの愛情などが交錯する中,あまりにも少ない選択肢の中で進んでいく様には,惹き付けられるものがあります。また,物語中には,作者からの社会的問題に対する痛烈なメッセージも織り込まれ,なるほどと感じさせてくれます。

 この作品は,全10巻で現在も発売です。ちなみに講談社漫画賞の受賞作品でもあります。個人的には深夜アニメでやればおもしろいのではと思っていますが・・・(^^;)

98/10/18

「全然オッケー 雨でも風でも大丈夫!!」・・・彼氏彼女の事情

 これは白泉社から花とゆめコミックスとして発売されているコミックです。作者は津田雅美。

 主人公宮沢雪野(15歳,高校1年)は,容姿端麗・品行方正・成績優秀,その上スポーツも万能の優等生。しかーし! その実体は?! 人に褒められたい,よく見られたいがために不断の努力を欠かさない,見栄,見栄,見栄,見栄に生きる見栄の権化,見栄王なのです!
 家の内と外では,全くの別人。家ではのんべんだらりとした生活を行っている(家でも見栄のための努力だけは怠っていない!)が,一歩家の外に出ると家族も「変態」と言わしめるほどの見栄のための猫のかぶりよう・・・。
 そんな彼女が目の上のこぶと思っている人物・・・「有馬総一郎」。彼女以上の優秀ぶりによって,高校入学以来より,彼女を上回るほどの人気がある。見栄の権化である彼女にとって,自分以外が注目されるのがとても気に入らない。
 あるとき,そんな有馬が雪野に愛の告白をする。雪野は何の考えもなしに断って,しばらくした日。ちょっとした事情から彼女の家を訪れた有馬に,自分の家での本性がばれてしまった!さてどうする雪野!どうする有馬!

 月刊LaLaに連載中のハイテンションラブラブロマンスです。
 本作の主人公「宮沢雪野」と「有馬総一郎」,両人とも優秀であるが根っから優秀というわけではなく,ある目的のために優秀という過去を持つ(雪野は見栄のため,有馬は自分の本当の両親(蒸発中)が最低の人間であり,自分を引き取ってくれた養父(両親の兄弟)に恥をかかさないため)。
 そんな屈折した二人が,心の仮面を脱ぎ捨てて,取り繕っていた「優秀さ」を除いて,つきあっていく・・・人間誰しもが持っている本音と建前の奇妙なバランスから生み出される物語です。単なるラブロマンスならこれでおしまいなのですが,ある意味,主人公や周りの人々が屈折していますから,そこから生み出されるハイテンションなお笑いには光るものがあります。私自身,ラブロマンスと捉えるよりも人間関係・性質を利用したギャグセンスに惹かれてしまっています(^^;)

 現在この作品はTV東京系列でアニメ化されて放送されています。ちなみに監督は「エヴァ」でお馴染みの庵野氏です。映像としても「庵野節」とも思える演出で楽しませてくれます(ただし,このエヴァにも使われた演出方法を多用していることは,人により好き嫌いがあると思います)。徳島では,TV大阪で毎週金曜18:30から放送されています。

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1998年9月分

98/09/27

「我が影技にかなうものなし,我が一撃は無敵なり」・・・シャドウスキル

 これは当初,竹書房のBAMBOO COMICSのGAMMA SERIESで刊行,作者は岡田芽武。

 「修練闘士(セヴァール)」・・・傭兵王国クルダの中にあって,その称号は最高の栄誉,最強たる存在,そして恐怖を司ることをあらわす。クルダ二千年の歴史の中で59人目,女性の若きセヴァールであるエレ=ラグは「クルダ流交殺法」の使い手である。そのエレ=ラグの弟(戦禍の拾い子であって実弟ではない)であるガウ=バンは,エレと,エレと互角に勝負する事が出来る呪符魔術士(スイレーム)のフォウリー,獣魔捕人(セプティア)のキュオと共に,様々な旅をしながら成長し,強くなっていくのだった。そう・・・60人目のセヴァールとなるために。姉やキュオたちを,愛する者たちを守るための強さを求めて・・・。

 コミックガンマ(竹書房・休刊)に連載中,そのきめ細かい書き込みと派手な格闘アクション,そしてファンタジーの世界を織り込んだ作品として有名を馳せました(現在も誌面を変えて連載中です)。1991年から季刊として発売されたコミックガンマを隔月刊,月刊へと押し上げた中心的作品でもあり,早くから竹書房がメディアミックスとしてラジオ,ビデオへと進出させたモノでもあります。
 キャラクターが放つ全ての「技」にも一連の台詞回しが存在し,私としては作品中のそんな台詞回しが好きです。また,ガウたちの精神的成長の表現も見せ場かもしれません。

 格闘ファンタジーとしての先鋒を担った作品の一つですが,その出来は良いです。現在,本作品は別の誌面で連載しています(このネタを思いついたときには,どの誌面に掲載されていたかを忘れていますので,その辺ご容赦ください。私自身の資料ではBAMBOO COMICSのモノしかありませんので)。また,TV東京ではアニメとして放送されています(徳島では放送されていません)

98/09/20

「仮学とはそも大神を知り一体となるための法・・・」・・・仙術超攻殻オリオン

 これは,青心社からCOMIC BORNEとして刊行されたコミックスです。作者は士郎正宗。

 飽くなき欲望と邪念で滅びかけようとしている大銀河人民帝国。帝国崩壊を免れるため,帝国では蛇目博士が仙術「金剛龍法」を操って,「九頭炉」の術を完成させ全ての邪念を焼き払おうとしていた。時を同じくして仙術「天台龍法」のフゼン道人は,「金剛龍法」の「九頭炉」の術式が「天台龍法」の邪神召還の術式と同じであることを見抜き,術完成を阻止し破壊すべくスサノオ神を召還させ,帝国から盗み出した「九頭炉」の術法を娘セスカの体に刻し逃がそうとするのだが,セスカ自身ひょんな事から「天台龍法」の邪神となってしまう。ここに邪神セスカ,邪念を滅する「九頭炉」を完成させようとする帝国,そして「九頭炉」破壊を目的とするスサノオとのバトルが繰り広げられるのであった。

 「アップルシード」「攻殻機動隊」でおなじみの士郎正宗が描くSFファンタジーアクションです。なんといっても恐ろしいまでに緻密に練られた設定,細かなところまでの描き込み,読むものを惹き付けるアクションとその表現力は他の作家の追随を許していません。
 この作品はSFであっても,東洋系のものをかなり取り込んでいます。仙術・仏法・神道・道教などの思想が織り込まれ,「仮学」(一般で言うところの「科学」)「龍力(ロンリ)」(これも「論理」)等各種のキーワードもその世界観を構築するよう設定されています。
 そしてシナリオの中心に流れているのは,日本神道のスサノオとクシナダ,そして龍が出てくる「やまたのおろち」伝説です。また,今回の龍は普通の「やまたのおろち」ではなく「九頭竜(本作では「クトゥリュー」と読みます)」であること。つまりはH.P.ラヴクラフトの「クトゥルー神話」がベースとなっています。
 各コマで表現されている文の内容はその設定の緻密さ故に,普通であればすぐには理解できないほど難しいのですが,理解できなくても最後まで読み込ませてしまうのは「さすが」と言うほかありません。
 (士郎正宗の作品を紹介するには,私の表現力があまりにも足りていなくて,その面白さを伝えることが出来ていません。できれば,実際に呼んでみていただければと思います。)

 東洋系各種の神話なんかが好きな方であれば,どっぷりと楽しめる作品です。私の中でも,映像化して欲しい作品の一つでもあります。今回,11月からこの「仙術超攻殻オリオン」の世界観を活かしたネットワークゲームがスタートします。詳しくはGNJホームページ(http://www.gnj.co.jp/)で。

98/09/06

「百世の悪名よりも,先の千年の世を求む・・・」・・・蒼天航路

 これは講談社からモーニングKCとして発売されているコミックスです。原案イハギン,漫画王欣太。

 西暦200年頃の中国大陸。漢帝国はその政権を中常持達にいいように扱われ,衰退の一途をたどり,それに呼応するかのように黄巾を着けた農民達が一斉蜂起し内乱を起こした。世に言う「黄巾党の乱」の勃発である。衰退した漢帝国自身これを鎮圧出来るはずもなく,在野の優秀な武官をかき集め,討伐に乗り出した。このときから曹操孟徳の歴史が大きく動き始めていくのであった。黄巾党の鎮圧に成功したものの漢帝国は瓦解し,董卓の圧政,呂府の流浪,そして官渡の戦いへと歴史は進むのであった・・・。

 三国志をベースにした長編ロマンであり,特に「曹操」を主人公にした物語です。圧倒的な画力で見せる戦闘,曹操の口から紡ぎ出される台詞が何ともいえない雰囲気を醸し出します。曹操といえば,諸葛亮にこてんぱんにやられる魏の丞相で悪名高いというのが一般的な見解かもしれませんが,本書の中では曹操が曹操たる所以であるその優秀ぶりが垣間見れます。あまりにも純粋で他を許すことが出来なかった曹操。また,技芸・武術・文学などにも優れ,あらゆる事が処理できる万能人として描かれる曹操。そんな曹操が臨機応変に物事に対処していく様はあまりにも合理的であり,理にかなっています。しかし人間というものは理では生きていけないもの。だからこそ,理を貫けない人々にとって曹操は「人間でないもの」などと言われるんですよね。今回の蒼天航路はそんな曹操に対する見方を大きく変える一品です。

 現在12巻まで発売中。(以後続巻)
 (三国志なんて,横山光輝「三国志」,光栄の「三国志」シリーズのゲームで,嫌になるほど武将とか歴史とか覚えたなぁ)

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